「クレジットカードは危険だ」と言われることがあります。その理由の1つに、「金利手数料」が発生し、実際にカードを利用した金額よりも多くの金額を支払わなければならない、というものがあります。
金利手数料とは、利息です。「年率○%」のように表現され、利用した金額に応じて、1日ごとに加算されます。ただ、金利手数料は必ず発生するわけではありません。たとえば、カード利用額を翌月の支払期日にすべて支払う1回払いでは、買い物をした金額とまったく同じ金額を支払います。一切の金利手数料はかかりません。
一方で、カード利用額を翌月から数回に渡って支払う分割払いとリボ払いだと金利手数料がかかります。
つまり、クレジットカードそのものが危険なのではありません。金利手数料がどのようにかかるのか? いくらかかるのか? それを知らずにカードを利用することが危険なのです。ですから、金利手数料のしくみを理解していれば、むしろ便利で安全なものとして利用できます。
このページでは、クレジットカードの金利手数料について、詳しく説明します。クレジットカードの金利手数料がどのようなときに発生するかを知ることにより、必要な金利手数料を前もって理解し、計画的にカードを利用することができます。
金利手数料は支払回数で異なる
クレジットカードの金利手数料は、「支払回数」によって異なります。なぜなら、金利手数料はカードを利用してから支払うまでの日数により発生するからです。
たとえば、三井住友カード デビュープラスの場合、10万円の商品を3回払いで購入した場合、金利手数料は2,010円です。これに対し、同じ10万円の商品を10回払いで購入した場合、金利手数料は6,700円に増えます。
この金利手数料の金額の差は、支払回数が多くなったことが原因です。
クレジットカードの金利手数料を理解するためには、カードの支払回数について知る必要があります。ここで、まずはカードの支払回数について詳しく説明します。
クレジットカードの支払回数は、1回払い、2回払い、ボーナス一括払い、リボ払い、分割払いの5種類があります(カード会社、カードの種類により異なる)。この内、手数料がかかるのはリボ払い、分割払いの2種類だけです。1回払いや2回払い、ボーナス一括払いは金利手数料が一切かかりません。
以下で5種類の支払方法について、一つずつ説明します。
1回払い
利用した金額を翌月の支払期日に全額支払う方法が「1回払い」です。カードで買い物してから支払期日まで日数がありますが、金利手数料は一切かかりません。1回払いは、手数料がかからないためもっとも広く利用される支払方法です。
1回払いの支払方法の例を挙げます。三井住友カード デビュープラス(学生専用)を使って1万円の腕時計を買ったとします。この1万円全額を、翌月26日(カード会社により異なる)に口座からの引き落としより支払います。このとき、金利手数料はかかりません。
このように1回払いは、1ヶ月間に利用した金額をまとめて、支払期日に口座からの引き落としにより支払います。1回払いではカードを利用してから支払うまでに最長57日(月初めにカード利用し、翌月26日に支払う場合)の期間がありますが、金利手数料は一切かかりません。
2回払い
カード利用した金額を、翌月と翌々月の2回に分けて支払う方法が「2回払い」です。2回に分割して支払いますが、金利手数料は一切かかりません。ですから、2回払いを上手く利用することにより、高額な買い物を少ない負担でできるようになります。
たとえば、5万円のiPadを買う場合、翌月の支払日に1度に支払うのは苦しいと感じたため、2回払いで購入しました。こうすることで、iPadを購入した翌月には5万円の半額である2万5千円を、さらにその翌月に残りの2万5千円を支払うことになります。2回払いでは金利手数料が発生しないので、支払う金額の合計は、カードを利用した金額の5万円のみです。
このように、2回払いも金利手数料が一切かかりません。金利手数料が無料で2回の分割払いが利用できるのは魅力的です。ただし、お店が2回払いに対応していないことがあります。また、カードの種類によっては2回払いが選択できないものがあります。ですから、事前に2回払いが選択できるカードかとうかを確認することが必要です。
ボーナス払い
ボーナス払いとは、カード利用した金額を、7月〜8月と翌年1月(カード会社により異なる)に一括で支払う方法のことです。ボーナス払いも金利手数料はかかりません。7月〜8月と翌年1月という時期に一括で支払う理由は、社会人がボーナスを受け取った直後の時期だからです。学生でもボーナス払いを利用できます。
たとえば、三井住友カード デビュープラス(学生専用)は、以下の表のように、支払期日が決定されます。
ボーナス払いの利用期間と支払期日:三井住友カード デビュープラス(学生専用)
利用期間 | 支払期日 | カード利用から 支払いまでの期間 |
|
---|---|---|---|
夏 | 12月16日から6月15日 | 8月26日 | 最長8ヶ月10日 最短2ヶ月11日 |
冬 | 7月16日から11月15日 | 翌年1月26日 | 最長6ヶ月10日 最短2ヶ月11日 |
仮に12月16日にボーナス払いで買い物した場合、支払いは翌年の8月26日になります。このとき、金利手数料が一切不要で8ヶ月以上も支払いを先延ばしできます。
高額な買い物にカードを利用するとき、1ヶ月先ではお金を用意することができないことがあるかも知れません。そのようなときにボーナス払いで支払いを数ヶ月先まで先延ばしすれば、アルバイト代や仕送りを貯めて支払うことができます。
ボーナス払いは金利手数料が無料で、支払いを数ヶ月先まで先延ばしできる便利な支払方法です。しかし、ボーナス払いは2回払いと同じように、お店が対応しておらず利用できないことがあります。
分割払い
分割払いとは、カード利用した金額を、3回〜24回(カード会社により異なる)から選択して支払う方法です。この分割払いでは、年率12%〜14.75%程度の金利手数料が発生します。分割払いの金利手数料は、同じ金額の買い物であっても分割回数が多いほど高額になります。また、金利手数料はカード会社によって若干異なります。
以下は、三井住友カード デビュープラス(学生専用)の分割回数と金利手数料の金額です。表の右側は10万円を分割払いで利用したときの金利手数料です。
分割回数 | 実質年率 | 利用金額 10万円のときの 金利手数料 |
---|---|---|
3回払い | 12% | 2,010円 |
5回払い | 13.25% | 3,350円 |
6回払い | 13.75% | 4,020円 |
10回払い | 14.25% | 6,700円 |
12回払い | 14.5% | 8,040円 |
15回払い | 14.75% | 10,050円 |
18回払い | 12,060円 | |
20回払い | 13,400円 | |
24回払い | 16,080円 |
具体的に分割払いを利用したときの支払い方法を説明します。たとえば、今使っているノートパソコンが急に壊れてしまい、急いで新しいものを買わなければならなくなったとします。欲しいノートパソコンは10万円です。しかし貯金が少なく、1回払いで翌月に支払うことはできません。そこで、10万円のノートパソコンを、10回分割払いで買ったとします。
この場合、上記表のように金利手数料として6,700円必要になります。合計すると、10万6,700円です。なお、10回分割ですから、翌月から毎月10,670円を、10ヶ月間に渡って支払います。
このように、分割払いでは金利手数料が掛ります。また、先ほどの表をよく見ていただくとわかりますが、分割回数が増えるほど金利手数料は高額になります。分割回数を増やすことで、毎月の支払額を抑えるメリットはあるものの、手数料が高額になり、トータルの支払額が増えてしまう事には注意が必要です。
リボ払い
リボ払いとは、カード利用額に関わらず、毎月5千円や1万円など(カード会社により異なる。自分で決められることが多い)の一定の金額だけを毎月支払う方法です。リボ払いには残額に対して15%の金利手数料が掛ります。
リボ払いのしくみは、ほかの支払方法よりも複雑です。これが「クレジットカードは危険」と言われている大きな理由の1つです。
リボ払いでカードを利用してから最初の支払いまでの間は金利手数料はかかりません。そして、最初の支払いを過ぎてからは残額に対して、年率15%程度(カード会社により若干異なる)の金利手数料が日単位で発生します。
たとえば、三井住友カード デビュープラス(学生専用)のリボ払いで、4月に10万円のノートパソコンを買ったとします。このときリボ払いで支払う金額を1万円に設定していたとします。(このカードのリボ払いの支払金額は、5千円、1万円以上1万円単位で自分で決定することができます)
ノートパソコンを買った翌月の支払期日である5月26日に、10万円の内の1万円を支払います。リボ払いは最初の支払期日までの金利手数料は発生しません。これで残額は9万円となります。
そして次の支払い期日である6月26日には、残額9万円の内の1万円を支払います。それに加えて、5月27日から6月26日までの31日分の金利手数料1,146円が必要なので、合計で1万1,146円を支払います。計算方法は以下のとおりです。これで残額は8万円となります。
リボ払い残額9万円×年率15%÷365日×31日=1,146円
さらに次の月の支払期日である7月26日には、同じように残額8万円の内の1万円を支払います。金利手数料は日割り計算なので、月によって多少率が異なります。6月27日から7月26日までは30日間なので、これに相当する金利手数料は986円です。リボ払い残額が減っているので、金利手数料も月を追うごとに安くなっていきます。これを繰り返し、リボ払い残額がゼロになるまで支払います。
また、リボ払いは、リボ払い残額が残っている状態でも、新たにリボ払いで支払うことができます。リボ払いでの買い物が重なったとしても、支払う金額は変わりません。
たとえば、10万円のノートパソコンをリボ払いで購入し、毎月1万円ずつ支払っていたとします。しかし、ノートパソコンの支払いが終わらない状態で、5万円のiPadを買わなければならなくなりました。このようなときでも、iPadをリボ払いで購入することが可能です。このとき、毎月支払う金額は1万円のまま一定です。ただし、リボ払いをしている金額(残額)が増えるため、金利手数料は増えてしまうことに注意が必要です。
このように、リボ払いはカード利用金額に関わらず毎月の支払金額をほぼ一定にすることができる支払い方法です。これにより、急に高額なものを買う必要が出て来たときでも、毎月の負担を増やすことなく支払いができて便利です。
しかし、使いすぎると金利手数料が思っている以上に高額になってしまうというデメリットがあります。毎月支払う金額はほぼ一定なので、リボ払いに慣れてしまうと、金銭感覚がマヒしカードの使いすぎに繋がる恐れがあります。そして気づいたら、ビックリするぐらい高額な金利手数料になっていたということになってしまいます。このリボ払いの金利手数料が、クレジットカードは危険だといわれる大きな理由です。
以上の5つがクレジットカードの支払い方法です。ここまでの説明でわかるように、クレジットカードを利用して金利手数料がかかるのは、リボ払いと分割払いだけです。それ以外の1回払い、2回払い、ボーナス一括払いでは、金利手数料は一切かかりません。このような金利手数料のしくみを理解した上で、お金がないときに上手く利用できれば、クレジットカードは全く怖いものではありません。
リボ払いと分割払いには注意
カード会社は私たちが多くの金額をリボ払いや分割払いで利用すれば、その手数料でたくさん儲かります。このため、カード会社は、積極的にリボ払いや分割払いを勧めています。
たとえば、三井住友カード デビュープラス(学生専用)では、リボ払いで支払うと、ポイントが2倍になるという特典があります。これは、ポイントを”エサ”にしてリボ払いを利用させようとしていることが明らかです。しかし、ポイント目当てでリボ払いを利用すると、金利手数料が大きくなり結果的に損をしてしまいます。ですから、リボ払いはなるべく使わず、どうしても支払いが難しい場合だけ利用するようにしましょう。
繰り上げ返済で金利手数料を節約できる
リボ払いや分割払いは、毎月の支払金額を少なくできます。しかし、金利手数料は少しでも安いに越したことはありません。そこで、「繰り上げ返済」をすれば、余計な金利手数料を支払う必要はなくなります。
繰り上げ返済とは、リボ払いや分割払いの利用額を、支払期日を待つことなく一部や全部を支払うことです。こうすることにより、金利手数料を抑えることができます。なぜなら、金利手数料は1日単位で増えるため、1日でも早く支払った利用額には、金利手数料が発生しないからです。
繰り上げ返済をする方法は、2つあります。まず1つ目は、カードのインターネットサービスで手続きして、次回支払期日の支払金額を多くする方法です。そして2つ目は、カード会社に電話して「繰り上げ返済したい」と伝え、カード会社の口座に利用額を振り込む方法です。
このように、リボ払いや分割払いを利用している場合でも、お金に余裕ができれば1日でも早く利用額を支払うことにより、金利手数料を抑えることができます。
まとめ
いかがでしょうか。このページではクレジットカードが危険だと言われる大きな理由である金利手数料について説明しました。「クレジットカードは金利手数料(金利)が掛るから怖い…」と不安を持っていたかも知れませんが、金利手数料が掛るのは、分割払いとリボ払いを選んだときだけです。ほかの支払方法では、金利手数料は一切掛りません。
このことを理解しておけば、クレジットカードを使うことは危険なことではありません。
分割払いとリボ払いは、毎月の支払い金額を抑えることができるので便利です。しかし、利用金額が多くなったり、分割回数が多くなったりすると金利手数料は大きく膨らみます。
特にリボ払いには要注意です。毎月の支払い金額が一定のリボ払いに慣れると、金銭感覚がマヒしカードの使いすぎに繋がることがあります。こうならないために、「リボ払いはなるべく使わず、どうしても支払いが難しい場合だけ利用する」と心がけましょう。
基本的には金利手数料のかからない1回払い、2回払い、ボーナス払いで支払いをし、分割払いやリボ払いは本当に必要なときだけにするのです。
また、カードを使って何かを購入する前には、「これは本当に買う必要があるものなのか?」と、よく考えるようにすると無駄遣いをせずにすむはずです。
2回払いやボーナス払い、リボ払いや分割払いが利用できるカード一覧は以下のページで紹介しています。