クレジットカードを持つには審査にパスする必要があります。審査でチェックされるのは、「職業」や「収入」です。
では、自分が「学生」で、尚かつ「アルバイトしかしていない(収入が少ない)」「アルバイトすらしていない(収入ゼロ)」という場合は、カードの審査に通らないのでしょうか?
そのような心配は不要です。なぜなら、学生は収入がゼロでもクレジットカードの審査に最も通りやすい立場だからです。
このページでは、学生が収入ゼロでもカードを持つことができる理由を説明したいと思います。
学生だけは収入がゼロでも審査に通る
冒頭でも書いたように、クレジットカードの審査で最も重要視されるのは、「職業」と「収入」です。この理由は、クレジットカードの利用金額は後払いだからです。もしもお金を持っていない人がカードを使って買い物をすると、利用金額を後から支払うことができません。カード会社としては利用金額を回収することができず、損をしてしまうことになります。ですからカードの審査では、「収入が安定していること」が重要視されるのです。このため、毎月きちんと給料がある正社員や公務員は評価が高くなります。
一方で、収入が安定しないフリーター・アルバイトの方や、収入がゼロの無職の方は審査での評価が低くなります。この場合、審査に落とされカードが発行されない可能性が高くなります。
学生でアルバイトをしていなければ、収入の面では「無職」と同じです。また、アルバイトをしていたとしても、収入が安定しないフリーターと同じ状況です。
しかし、「学生」であるという理由だけで、カードの審査で高い評価を受けることができます。
なぜなら、学生は本人に収入がなくても、その家庭には大学などの学費を支払えるだけの経済力があると判断されるからです。もし学生本人がカード利用額の支払いが難しいとき、親にお金を借りたり、立て替えてもらったりする方法があります。
ここで少し余談になるのですが年齢による支払い義務のちがいについて説明します。20歳以上の成人か、20歳未満の未成年であるかによって、法的に誰がカード利用額を支払わなければならないのかが異なります。20歳以上であれば学生であっても、カード利用額の支払い義務は本人にあるので、カード会社が親に直接請求することはありません。
一方、未成年(20歳未満)の場合、カード利用額の支払い義務は法律上、親にあります。(そのため、未成年がクレジットカードの申し込むには親の同意が必要です。)なお、未成年の支払い義務は親ですが、基本的には学生本人に支払いの請求があります。そしてカード利用額の延滞があったときに限り、カード会社は親に請求します。
このような理由で、学生であれば家庭の学費を払える経済力があると予想できることから、審査での評価が高くなるのです。
学生が持つことができないカードもある
上記のように、学生だけは本人の収入が安定していない、もしくは無収入であってもクレジットカードの審査において通りやすい立場です。しかし、学生であれば全てのクレジットカードの審査に通るという訳ではありません。「学生である」という理由だけで審査に通るカードは、「学生専用カード」に限られます。
クレジットカードは、大きく分けると「一般カード」「ゴールドカード」「学生専用カード」の3つに分類することができます。
一般カードとは、比較的簡単に持つことができるカードです。世の中に出回っているカードの大半は、この一般カードです。一般カードはほとんどの場合、入会資格に「安定した収入があること」が条件となっています。学生は収入が安定しているとは言えないので、一般カードの入会資格を満たしません。
ゴールドカードとは、券面が金色で一般カードよりもステータスが高いとされているクレジットカードのことです。ゴールドカードは年会費が数千円から数万円と高額である代わりに、保険やホテル、レストランでの優待などのサービスが充実しているのが特徴です。ゴールドカードも入会資格に「安定した収入があること」が条件となっていて、学生は入会基準を満たしません。
次に学生専用カードです。これは「学生である」というだけで審査に通ります。学生カードとは、入会資格が学生に限定されたカードです。ここでの「学生」とは、大学生、大学院生、短大生、専門学生を指します。(カード会社により異なる)なお、高校生が持つことができるクレジットカードは存在しません。
ですから申し込む前に入会資格を確認し、「学生の方」や「18歳以上で電話連絡が可能な方」と定められている学生用のカードに申し込む必要があります。
このように、学生はクレジットカードの審査において、もっとも有利な立場です。しかし、どのようなカードに申し込んでも審査に通るわけではありません。ですから、入会資格を確認してから申し込むようにしましょう。
カード会社は新規会員を増やしたい
では、なぜカード会社は無収入の学生にカードを発行するのでしょうか? 収入がない学生にクレジットカードを発行してしまうと、カードを利用した金額を支払えず、お金を回収できない可能性が高くなります。
その理由は、カード会社は多少のリスクを負ってでも、「新規会員」を増やしたいからです。カード会社は「手数料」で利益を上げています。手数料とは、私たちがお店やネットショップでクレジットカードを使って支払いをしたとき、そのお店からカード会社に支払われるお金のことです。手数料の割合は利用金額の3%から7%程度で、これがカード会社の収益になります。つまり、より多くの人に、より多くの金額をカードで利用してもらうことにより、手数料収入を増やすことができるのです。
しかし、ほとんどの社会人はすでに何枚かのクレジットカードを持っていて、これ以上カードはいらないと思っている人も多くいます。そこで新規会員として有力なのが学生です。学生であれば、まだ1枚もカードを持っていない人がたくさんいるからです。
カード会社は学生に対して自社のクレジットカードを持って欲しいと考えています。また卒業して社会人になってからも長期的に利用してもらいたいと考えています。こうすることで、将来の手数料収入の利益に繋がるからです。そのため、学生に対しては「無収入(またはバイトで収入が少ない状態)でも問題なし」と審査のハードルを低くしています。
また、カードによっては長期的に使ってもらうために、特別な特典を用意しているものがあります。たとえば、三井住友デビュープラスカード(学生専用)の場合、入会すると10年後には、自動的にゴールドカードを持つことができます。ゴールドカードは、一般的に審査が厳しく、持つことが難しいとされています。それを、学生の内からカードを持ち続けることにより簡単に取得できる特典を付けています。これは明らかに「カード会社は学生に申し込んでもらい、長期にわたって自社のカードを使ってもらいたい」という意図が読み取れます。
このように、カード会社は手数料による利益を増やすため、新規会員を増やす努力をしています。このため、できるだけ手軽に学生にカードを持ってもらい、卒業して社会人になっても引き続いて自社のカードを使って欲しいわけです。
学生の限度額は30万円まで
学生はカード会社から歓迎される立場だと言うことはお分かりいただけたと思います。
では、学生であっても社会人と全く同じ条件でクレジットカードを持つことができるのでしょうか。
残念ながら、収入が少ない(もしくはゼロの)学生は、社会人よりも「利用限度額」だけは低くなります。
利用限度額とは、カードを利用できる金額の上限のことです。
例えば、「限度額10万円」とは、利用額の引き落とし日までの間に、10万円までカードを利用することができるということです。
限度額を超えてカードを使うことはできません。もし限度額以上の金額を決済しようとすると、お店でもインターネットでも、「利用不可」となり受け付けてもらえなくなります。
社会人の場合、利用限度額は30万円〜50万円(収入や職業により異なる)なのに対し、学生は30万円を超えることはありません。
(カード会社によっては10万円くらいになる場合もある。)
学生は利用限度額が最高でも30万円までに制限されます。
もしアルバイトで年収100万円から200万円ほどあっても、30万円以上になることはありません。
なぜ学生の場合、限度額が最高30万円に制限されるのでしょうか。
それは、割賦販売法(法律)により「クレジットカードの限度額はその人の年収等から支払い可能であると判断できる金額でなければならない」と定められているからです。
ただし、この法律では「限度額30万円までなら、年収等に一切関係なく設定することができる」となっています。
このため、限度額30万円までであれば、年収等に関係なく設定することができるのです。
ここでの「年収等」は正社員の給料のように毎月安定したものを指します。
ですから、無収入はもちろん、収入が安定しないアルバイトの学生の場合、1枚のカードで限度額30万円を超えることはできないのです。
以上のように、学生がクレジットカードを持つとき、社会人と比べて唯一のデメリットは利用限度額が低くなることです。
限度額を30万円以上にする方法
しかし、海外旅行や留学などで、限度額30万円では不安に感じる場合があります。
このような時はカードを2枚持つことで解決します。
学生でもクレジットカードを2枚以上持つことができます。
2枚のカードを持てば、1枚のカードが利用限度額いっぱいになり使えなくなっても、もう1枚のカードを利用できます。
つまり、こうすることで実質的に利用限度額を30万円以上にすることができるのです。
ただし、2枚目のカードも限度額が30万円となる可能性はまずありません。
たいていの場合、2枚目のカードは限度額が5万円から10万円と、1枚目よりも少なく設定されます。
カード会社は申し込みがあったとき、他に持っているクレジットカードの会社や限度額を知ることができます。
その情報を元にカードを発行するかどうか、そして限度額はいくらに設定するかを審査します。
たとえば、すでに限度額30万円のカードを持っている学生が2枚目のカードを申し込んだとします。
このとき、2枚目のカードも限度額30万円だとすると、1人で60万円の限度額になります。
もし短期間に60万円分をカード利用した場合、たとえアルバイトをしている学生であっても支払えない可能性が高くなります。
あまりに高額な利用限度額になると、カード会社はお金を払ってもらえない可能性が高くなります。
ですから、すでにクレジットカードを1枚持っていて30万円の限度額がある場合、2枚目の限度額は低い金額になってしまいます。
ただ、こうすることで2枚目のクレジットカードを持つことにより合計すると30万円以上の限度額にすることができます。
ただし、2枚目のクレジットカードの申し込みでは、他にカードを持っているという理由で審査に落とされる可能性があります。
上で説明したように、所有するカードの枚数が増えるほど、1人で利用できる限度額の合計は大きくなっていきます。
しかしこうなると、カード会社は無収入、または収入が安定しない学生が、利用した金額を支払えないことがあるのではないかと心配になります。
このため、2枚目のクレジットカードの申し込み審査は、より慎重に行われ、場合によっては落ちてしまうことが考えられます。
まとめ
このように、学生はカード会社が収益を増やすため、積極的にクレジットカードの新規会員にしたい立場にいます。
そのため審査のハードルは、一般の社会人と比べてとても低くなっています。入会資格で「学生」や「18歳以上で電話連絡が可能な方」と定められている学生を対象としたカードであれば、アルバイトしかしていない(収入が少ない)人、あるいは収入がゼロであってもほぼ確実に審査をパスすることができます。
ただし、学生がカードを持つ場合、利用限度額は最高30万円です。
アルバイトでの収入がいくらあったとしても、収入が安定しているとは言えないため、限度額が30万円を超えることはありません。
学生は審査のハードルが低く、クレジットカードを持つことが最も簡単な立場です。
ですから、学生である今のうちにクレジットカードを作ることをおすすめします。