クレジットカードの利用金額は、指定日(毎月25日など)に銀行から引き落としされます。しかし、口座にお金を用意するのを忘れて残高不足となり、期日に支払えないということもあります。そのようなときは一体どうなるのか? と不安に思っているかも知れません。
1ヶ月くらいの遅れならそれほど大きな問題はありません。しかし大体2ヶ月以上支払いが遅れると、カードを強制退会させられ、持っているカードが使えなくなってしまいます。またそれだけでなく、他のクレジットカードを申し込んだとしても、強制退会から5年間は絶対に審査に通らなくなります。
さらには、この5年間は自動車ローン、カードローンなど他のローンを組むこともできません。また、意外かも知れませんが「スマホの分割払い」さえも受け付けてもらうことはできません。この状態を俗に「ブラックリストに載っている」といいます。
ブラックリストに載ってしまうと、新しいスマホに機種変更しようとしても、一括払いで支払うしか方法がありません。また、大学を卒業後に自動車ローンで車を買おうと思っても、審査に落ちてしまいます。
なぜこのように他のカード会社やローン会社も利用できなくなるのでしょうか? それはクレジットカードの利用状況、支払状況が、全てのカード会社やローン会社で共有されているからです。
すべてのカード会社は、「いつカードを申し込みしたか」「支払いに延滞がないか」のような情報(「個人信用情報」という)を、個人情報信用登録機関に登録します。個人情報信用登録機関は国内に3社あり、クレジットカードだけでなくローン、携帯電話の分割払いなどの個人信用情報を管理しています。
クレジットカードや自動車ローンを申し込むと、審査のとき必ず個人信用情報を調査されます。このため、過去に強制的に退会させられた事実が分かってしまうのです。
たとえば、友だちからお金を借りたまま返さずにいるとします。すると「アイツはお金を返さないヤツだ」という噂が広まり、誰もお金を貸してくれなくなってしまうでしょう。それと同じことが金融業界の中で起こります。
カード利用額を2ヶ月延滞するとクレジットカードやローン、さらには携帯電話の分割払いが利用できなくなってしまいます。しかし、2ヶ月以内であれば大きな問題はなく、引き続いてカードを使うことができます。このページでは、もし利用額の引き落とし日に支払うことができなかった場合はどうなるのか? そしてどうすればよいのか?について順を追って説明します。
1.1回目の引き落とし(通常の指定日)
カード利用額は翌月の指定日(25日など)に銀行口座から引き落とされます。引き落とし日と金額は前もってメールで連絡があるので確認しましょう。
この段階で支払うことができないと「延滞」の状態になります。延滞とは、支払期日を1日でも過ぎた状態のことです。
最初の引き落としで支払うことができなくても、カード会社からの評価を大きく落とすことにはなりません。ただし、その場合にはカードが一時的に使えなくなる(利用停止になる)ことがあります。(利用額を支払うことによりカードが再び使えるようになります。)
前日までに指定口座に引き落とし金額を用意しておきましょう。
これにより、毎月の支払い金額を少なくすることができます。
たとえば、15万円のノートパソコンをカード(一括払い)で買ったとします。そのときはバイト代が入れば支払えると思っていたものの、タブレットが壊れてしまって5万円(一括払い)で新しいものを買いました。
これでは次の引き落としで支払いができないと思ったときは、ノートパソコンとタブレットのどちらか、または両方をリボ払いに変更することができます。それにより、一括払いであれば1度に20万円を支払わなければならないところを、毎月5千円や1万円などの支払いで済みます。
「一括払い」から「リボ払い」に変更するには、クレジットカードの会員サイトから簡単に手続きすることができます。ただし、変更ができるのは支払期日の約2週間前までです(カード会社により異なる)。
このようなことを防ぐため、利用額は前日までに引き落とし口座に用意しておきましょう。
2.2回目の引き落とし
支払いを延滞した場合、カード会社からメールやハガキで利用額が引き落としできなかったと連絡がきます。そして、数日後に再度引き落としされます。
延滞損害金は最大で年利14.6%(1日につき利用金額の0.04%)です。これは利用額を支払うまで毎日増え続けます。たとえば5万円の利用金額を引き落とし日に支払うことができなかった場合、1日につき20円ずつ延滞損害金が増え続けます。
3.振込用紙で支払い
2回目の引き落としでも利用額を支払えなかった場合、ハガキなどで利用額が引き落とせなかった通知と振込用紙が届きます。この振込用紙を使って利用額を銀行やコンビニで振り込みます。このとき支払う金額は、カード利用額に延滞延滞金を合わせたものと、さらに銀行やコンビニでの振込手数料です。
この振込用紙を使って利用額を支払えば、まだカード会社からの評価が大きく下がることはありません。また、利用停止になっていたカードは支払いから1〜3日後に再び使えるようになります。
ただし、ひとつ注意点があります。カード会社からの評価が大きく下がらないのは、毎月期日どおりに支払っているにもかかわらず、たまたま利用額を延滞した場合です。もし毎月のように延滞を繰り返し、振込用紙で支払っているのであれば、ほかのクレジットカードの申し込みで審査落ちしたり、今使っているカードの有効期限が切れたタイミングで強制的に退会されられたりすることが考えられます。
ですから、支払期日を過ぎて支払うことに慣れてしまうことがないよう気をつけましょう。
振込先情報の口座は、クレジットカードの裏面に書かれている番号に電話すれば教えてくれます。
4.カード会社から督促の電話
振込用紙が送られて来たにも関わらず、まだ支払いをせずにいると、カード会社から携帯電話や自宅に電話がかかり、早くカード利用額を支払うよう督促があります。
携帯電話に電話がかかってくると、支払いをしていないので出たくない気持ちになります。しかし、これを無視すると自宅に電話がかかります。親と同居の場合、カード利用額を支払っていないことが親にバレてしまうことにつながります。
5.ブラックリストに載る
電話による督促があったにも関わらず、期日から2ヶ月間(61日以上)滞納していると、この時点でカードを強制的に退会させられます。具体的には、カード会社から郵送などで「あなたを退会として処理することをお知らせします。手元のカードは処分してください」という内容の通知があります。
また、同時にブラックリストに載ることになります。「ブラックリスト」とは俗称で、実際にはブラックリストという名簿は存在しません。これは、個人信用情報に「長期間延滞した事実」が登録される状態のことをいいます。個人信用情報に登録された長期間延滞した事実は、5年間消えることはありません(5年後に削除されます)。
このため、個人信用情報が「汚れている」5年間は全てのクレジットカードやローン、さらには携帯電話の分割払いまでもが、絶対に審査に落とされてしまいます。この5年間という期間を短くする方法はありません。
ですから、たった1度であっても61日以上は絶対に延滞しないようにしましょう。
裁判所からの支払い命令は、必ず期日までに一括で支払う必要があり、分割払いや期限を延ばしてもらうなどのお願いは一切聞き入れられません。
手元にお金がなく、利用額をどうしても支払うことができない場合は、弁護士に相談して自己破産などを検討する必要があります。
まとめ
このように、カード利用額を延滞した場合は2回目の引き落としがあり、次に郵送される振込用紙で支払います。期日から60日以内であれば、大きな問題はなく引き続いてカードを使うことができます。ただし、期日を過ぎて支払いをするまでの間は、日数に応じて延滞損害金がかかり、一時的にカードが利用できなくなってしまいます。
しかし、期日から2ヶ月(61日)以上支払わなかった場合は致命的です。個人信用情報に⻑期間延滞した事実が登録され、この情報は5年間消えることがありません。いわゆるブラックリストの状態になります。5年間はクレジットカードだけでなく、自動車ローン、住宅ローン、携帯電話の分割払いまでもが全て利用できなくなってしまいます。
このような事態にならないように、クレジットカードの利用額は遅くとも60日以内に絶対に支払うようにしましょう。